20世紀の建築と言えば「鉄とコンクリートとガラス」Ⅲ
20世紀の建築と言えば「鉄とコンクリートとガラス」。では、次は鉄とガラスのお話し・・・・・。19世紀において、鉄とガラスは大量生産ができるようになり、新しい可能性を秘め、建築に大きな影響を与えた。鉄はまず多数の橋に、1790年以降は工場建築に応用された。だが、当時の建築は積石造の重厚な様式建築がほとんどで、鉄とガラスの建築とは、温室であった。1985年のロンドンの第1回万国博覧会の会場として建設された「クリスタルパレス」はまさに巨大な温室であった。
20世紀の建築と言えば「鉄とコンクリートとガラス」Ⅱ
では、なぜ、20世紀の建築と言えば鉄、コンクリート、ガラス?・・・・・。20世紀は近代建築運動の時代で、それは、伝統的な様式建築を否定し、新たな工業化時代にふさわしい建築を模索し始め、工業化の進展にともなって、機能主義的、合理主義的な近代建築運動のうねりが高まっていく。それを、最初に実現したのは、機能と合理性を求めた工場建築の分野であった。それは、コンクリートに鉄筋をいれて補強する鉄筋コンクリートという工法が19世紀に登場し、それが20世紀に確立したからでもある。鉄筋とコンクリートはお互いの弱点を相互補完し、非常に相性が良い。コンクリートは圧縮力には強いが引っ張り力には弱く、逆に鉄筋は引っ張り力には強いが圧縮力には弱い。コンクリートと鉄は付着強度が大きく、熱膨張率もほぼ同じであり、また、鉄は酸化して錆びやすいが、コンクリート中の高アルカリの為に、鉄筋コンクリート中の鉄筋は腐食しにくいなど・・・・・。近代建築以前の建築は(木造はさておき)石やレンガを積んで壁を作る組積造が基本で、構造上大きな開口部が取れないが、鉄筋コンクリートで柱、梁、床を作り、構造上のベースとすれば、自由な開口部が得らる。また、コンクリートは型枠の中に流し込んで作るので、自由な造形が可能であるという点でも、大きな変革を可能とした。この鉄筋コンクリートの20世紀の代表的な住宅が、あの世界遺産となった上野の国立西洋美術館を設計したコルビジェの「サボア邸」。サボア邸も世界遺産。
20世紀の建築と言えば「鉄とコンクリートとガラス」Ⅰ
20世紀の建築と言えば、「鉄とコンクリートとガラス」。では、鉄とコンクリートとガラスは20世紀に発明(発見)された?・・・。とーんでもございません。鉄は紀元前3300年~紀元前3000年頃の、例のメソポタミアのウルク遺跡から鉄片が見つかっている(ただし隕鉄)。紀元前15世紀頃の、御存じヒッタイトは、高度な製鉄技術により鉄製の強力な武器を作っていました。コンクリートは、ローマ帝国ですでに多用されていて、今日でも多くの建築物が残っている(パンテオンがその代表的な建築)。ただし、現代の鉄筋コンクリートとは違い、鉄筋は使用されていない。さて、ガラス・・・黒曜石などの天然ガラスは石器時代の石包丁や矢じりとして利用されていた。鋳造ガラスのの始りは、紀元前2000年頃のエジプトや西アジアで、現代のガラス器製造の基本技法の宙吹きは、紀元前1世紀にエジプトのアレクサンドリアで発明された。ただし、現在使用されている安価で安定したフロートガラス(板ガラス)は1950年代になって、製造されるようになったが・・・。
建築の用語集ですが、まずは、人類初の建築って何?
用語集って何の用語?・・・・・それは、設計事務所の用語集なので、当然、建築の用語ですが・・・・・。では、人類の初めての建築って何?・・・・・。建築の定義をどうとらえるかにもよりますが、エジプトのピラミッドを思い浮かべる人もいると思います。話があらぬ方向へ行ってしまいそうですが、あえてちょっと余談・・・・・。中学校の教科書によれば、猿人の出現は400万年前。10万年ほど前になって現代の人類の祖先である新人(ホモ・サピエンス)がアフリカに現れ、全世界に広がったという事である。 日本列島では縄文時代の早期(約1万2000年前)から、それが建築と呼べるかどうかは別として「竪穴住居」があったが、その後、弥生時代(紀元前3世紀中頃~紀元3世紀中頃)も延々と「竪穴住居」であった。人類初の建築は紀元前6000年頃の古代メソポタミアの北部村落文化のハッスーナ期の住宅遺構がそれである。メソポタミアでは、建築に用いられる質の良い木材がなく、建築資材としては、単に泥を練った練土が用いられた。それが干乾し煉瓦となり、さらに焼成煉瓦となった。尚、エジプトのピラミッドは、最初期は階段状ピラミッドで、それが屈折ピラミッド、四角錐ピラミッドと発展したが、紀元前2620年頃から紀元前2450年頃建設されたものである。
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